市議海外視察5市が計上1人当たり7~101万円 県内40市のうち、さいたま、川越、東松山、狭山、戸田の5市が、2015年度当初予算案に市議の海外視察経費を計上していることが読売新聞の調べでわかった。5市は事業の発展や友好都市訪問の旅費などの名目で、市議1人当たり7万~101万5000円を負担する。
【公費検証】 東松山市は、世界規模のウォーキング大会に向けた視察や親善交流のため、市議2人が7月にオランダ(1人当たり101万5000円)、市議6人が10月に韓国(同13万5000円)を訪問する。市議が市費で海外視察することについて、森田光一市長は「視察を通じて市で開催する大会を発展させ、市民の相互交流の推進にも寄与する。世界に発信し市民に成果を示す」と文書で回答した。
狭山市では市議3人が姉妹都市交流事業のため韓国を訪れる予定で、1人当たり7万円を計上した。仲川幸成市長は「市議会を代表して視察することは見識を深めるために必要だ」としている。
川越市は1人当たり50万円の予算を組んだが、15年度は海外姉妹都市への派遣は予定していない。全国市議会議長会が例年秋に主催する海外派遣については、「内容を確認して派遣を判断する」という。川合善明市長は「公務で行うものについては市費で負担する必要がある。得られたものは広く市政に反映してもらう」と回答した。
さいたま市(1人当たり70万円)の視察先は未定で、戸田市(同40万8800円)はオーストラリアか中国を訪問する予定だという。
県内では、財政難や市民の理解が得られないという理由で、議員が海外視察する時の旅費負担を取りやめた自治体が多い。
名城大の昇秀樹教授(地方自治論)は「政務活動費を使った海外視察でさえ自粛する議会が増えている。自治体は議員の視察費を負担するならば納税者に具体的な成果を示す必要がある。費用対効果が得られないならやめるべきで、議会が絡む事業だからと聖域化すべきではない」と指摘している。

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