忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

<128万人県都のいま>(中)微妙な地域バランス 終わらぬ「綱引き」(2017年5月6日 東京新聞)

<128万人県都のいま>(中)微妙な地域バランス 終わらぬ「綱引き」

 東武野田線岩槻駅の東口を出ると、大きな文字が目に入る。「東部地域を元気にしよう 岩槻駅へ地下鉄をつなごう」

 垂れ幕は「地下鉄七号線延伸」を訴えるもの。現在は東京メトロ南北線から埼玉高速鉄道・浦和美園駅まで乗り入れる路線を、岩槻駅までつなぐことは、地元にとって合併前から長年の悲願だ。

 だが、今も垂れ幕はただのかけ声のままだ。「合併すれば地下鉄が来るんじゃないかという期待があった。まさか十二年たっても進まないとは」。岩槻区自治会連合会長の田中岑夫さん(71)は残念そうに語る。

 旧岩槻市は二〇〇五年にさいたま市と合併し、市内十番目の行政区となった。人口十万人ほどの小さな市が合併を選んだのは、政令市の財政力に地域の発展を期待したからだった。

 確かに、東西自由通路の完成など駅前は再整備され、「岩槻人形博物館」の整備も始まる。ただ、住民が合併時に思い描いたほどの変化の実感はなく、「開発は浦和や大宮ばかり」という声は根強い。

 一五年国勢調査で、市内十区で人口が減ったのは岩槻区だけ。高齢化率も最も高い。下水道などのインフラ整備も遅れている。昨年の市民意識調査で「住みやすいと思う人」の割合は浦和区や中央区では90%を越えたが、岩槻区は69%で一番低かった。

 発展の遅さが延伸にも影響している。昨年四月の国の交通審議会答申では、延伸は「意義のあるプロジェクト」とされたものの、「需要の創出につながる沿線開発や交流人口の増加が課題」とあらためて指摘された。

 清水市長も当初は一二年度末までの事業着手を掲げていたが、同年十月に「おおむね五年後の着手を目指す」と訂正。その五年後の今年二月、市議会で市長は「課題である事業性の確保に取り組む、一日も早い事業着手を目指す」と答えるにとどまった。時期の変更こそ明言しなかったものの、先行きの不透明さが強まった。

     ◇

 市役所の本庁舎はどこにあるべきか-。市誕生時からの「宿題」も、いまだに議論が続いている。

 「期限もなくただ審議していて議論の先が見えない」。昨年十月に開かれた「本庁舎整備審議会」の議事録からは、自治会代表らのいら立ちが見てとれる。

 本庁舎の位置は、合併時の協定書で「当分の間」は旧浦和市役所とし、将来は「さいたま新都心周辺地域が望ましいとの意見を踏まえ(中略)検討する」とされた。合併協議では新市名などをめぐって旧浦和市と旧大宮市の激しい綱引きがあり、協定書のあいまいな記述には当時の両市の苦悩がにじむ。

 審議会は発足から四年が過ぎた今年一月になって、ようやく「位置」の議論に入った。新都心周辺を推す声が目立つ一方で、「果たしてそこに土地はあるのか」という声もある。

 ただ、市長への答申時期が決まっていないことに加え、現庁舎の耐震工事も始まったことで結論を急ぐ理由がなくなった。委員からは「今の話し合いが将来的に生かされるのか」という不安も漏れる。

 今でも市議会では、旧浦和市を地盤とする議員が「大宮に使う予算が多すぎるのでは」と訴えるなど、綱引きが続いている。合併による数合わせの政令市化という十六年前の出発点からすでに、この「宿題」の答えが簡単には出ないことは、決まっていたのかもしれない。 (井上峻輔)
◆あす告示 現新三つどもえか

 さいたま市長選は七日、告示される。三選を目指す現職の清水勇人さん(55)、元自民党衆院議員の中森福代さん(67)、さいたま地区労議長の前島英男さん(64)=共産推薦=の三人が、いずれも無所属での立候補を予定している。現職が「市民党」を掲げ、自民党が事実上の自主投票となったことで、政党色の薄い選挙になりそうだ。

 清水さんは「健全財政を維持しながら市の成長力や幸福度を上げた」と実績を強調。「東日本の中枢都市」を目指し、「人口減少が始まる前に成長のための施策を進める」としている。

 中森さんは「大型イベントなど無駄遣いが多い」と現職を批判し、家庭負担ゼロの教育と死亡者ゼロの防災を実現すると訴える。元自民党員だが、特定の政党の支援は受けない。

 前島さんは「税金の使い方を市民第一に変える」と訴える。三十七年間の教員経験から、子育てや教育を重視。保育園の増設や少人数学級、給食費の無料化の実現などを目指す。

 過去二回の選挙で清水さんと争い、議会でも対立してきた自民は今回、独自候補者擁立に失敗。党としては誰にも推薦も出さず、市長選自体と距離を置く。

 さらに、三月に自民市議団内の対立から分裂した新会派「自民真政」の議員の多くは「自民から出せない以上は現実的に考える」と清水さんを支援している。

 前回選挙では敵対した公明も、四年間で清水さんとの距離を縮めた。市長選での態度こそ未定だが、市議団幹部は「政策は同じ方向を向いている」と語る。

 清水さんを支援してきた民進は、前回選挙同様に表には出ないが、先月にあった会派の市政報告会では清水さんの応援を宣言。同党支持母体の連合は、清水さんに推薦を出している。

 投開票は二十一日。三月二日時点の選挙人名簿登録者数は百五万六千四百八十六人。 

  (井上峻輔)
PR

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

プロフィール

HN:
五代目
性別:
非公開

P R