忍者ブログ

梅雨空に「九条守れ」の女性デモ さいたまの70代俳句 月報掲載拒否 (2014年7月4日 東京新聞)

集団的自衛権の行使容認に反対するデモを詠んだ市民の俳句を、さいたま市の公民館が月報への掲載を拒否したことが分かった。
大宮区の女性(73)が詠んだ「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」の句。識者から「表現の自由の侵害だ」との批判が出ている。

俳句の掲載を拒否したのは大宮区の三橋(みはし)公民館。同公民館は、毎月発行する「公民館だより」の俳句コーナーに、館内で開く俳句教室の一作品を掲載している。

作者らによると、掲載作品は、この俳句教室の会員約二十人が詠んだ句の中から、互選で一句選ぶ方式。「梅雨空-」は六月に選び、七月号に掲載予定だったが、公民館は月報の俳句欄を削除して発行した。公民館長は「世論が大きく二つに分かれる問題で、一方の意見だけ載せられない」と説明したという。

公民館を管轄する市生涯学習総合センターの小川栄一副館長は、本紙の取材に「この句が市の考えだと誤解を招いてはいけない。公民館の判断は妥当だ」と話した。

一方、全国九条の会事務局長を務める小森陽一東京大教授は「この句だけを掲載しなかったのは、表現の自由を保障した憲法二一条に違反する」と批判した。

行政などの自主規制は、千葉市で開かれた平和集会の後援申請を同市が拒否したり平和と原発をテーマにした集会の会場利用を明治大が拒否した例が判明している。

◆平和望む句 なぜ拒む

梅雨空に「九条守れ」の女性デモ-。集団的自衛権の行使に反対する市民の姿を詠んだこんな俳句を、さいたま市大宮区の公民館が掲載拒否した問題は、行政の自主規制が、草の根レベルの文芸分野にも及んでいることを印象づけた。句の作者の女性(73)=大宮区=は「思ったことを少しずつ口にできなくなり、戦争ができる国になってしまうのでは」と話している。

女性は六月上旬、東京・銀座に出掛けたとき、女性たちのデモ行進を偶然に見かけた。雨の中、「憲法九条を守ろう」と声を上げるお年寄りや、ベビーカーを押す若い母親。安倍晋三内閣が進める解釈改憲への反対を訴えていた。

「日本が『戦争ができる国』になりつつある。私も今、声を上げないと」。女性は飛び入りで行進の列に加わった。その思いを十七文字に込めたのが「梅雨空に-」の句だった。

女性は一九四〇年に新潟市で生まれ、間もなく、現在の東京都西東京市に転居した。四歳のとき、近所の病院が米軍の空襲に遭う。
女性は前日まで、そこに腸チフスで入院していた。「一日遅かったら…」。自分の「死」を思い、戦時中は空襲におびえながら空腹に耐える日々だった。

「子どもや孫たちには同じ思いをさせてはいけない。戦争に近づく前兆があったら、声を上げて反対しよう」。終戦後、そう誓って生きてきたという。

女性が通う俳句教室では、会員の作品から一句を選び、地元の三橋(みはし)公民館が毎月発行している「公民館だより」に掲載してきた。先月二十四日、会員約二十人が公民館に集まり、七月号に載せる一句の選考会を行った。約四十句の中から出席者のほとんどが「梅雨空-」を選んだ。

しかし二十五日になって、公民館側から教室側に「掲載できない」と電話があった。教室側が「おかしい」と伝えると、二十六日に公民館長から「意見が二つに割れている問題で、一方の意見だけを載せるわけにはいかない。七月号は俳句欄を削除する」と通告があった。

女性は「『九条を守れ』という考えに反対する人もいるので、公民館は批判を恐れて自主規制したのかもしれない。だけど、平和を望み、九条を守ろうというのは当然ではないでしょうか」と話した。

◆言論弾圧の卵のよう/表現活動支援を

新俳句人連盟の石川貞夫副会長の話 戦時中に戦争に批判的な俳人が治安維持法違反で投獄された俳句弾圧事件があり、今回の問題は、将来の言論弾圧を招く「卵」のような出来事だ。軽く見ることはできない。俳句は花鳥風月だけでなく、社会問題を積極的に表現する作品もある。掲載拒否の作品は情景を素直な気持ちで描写しており、公民館は神経質になりすぎている。
俳句教室が選んだ句を尊重するべきだった。

川岸令和(のりかず)・早大教授(憲法)の話 そもそも公民館は市民の表現活動を支援するために設置されている。言論を活性化させる形で運営しなければ趣旨に合わない。今回の俳句は「公民館の意見ではない」と明記して掲載すればよかった。改憲にはいろいろな意見があり、逆に「改憲賛成」の俳句があっても掲載してよい。
PR

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

プロフィール

HN:
五代目
性別:
非公開

P R